ぼくらの世界
デビュー作で江戸川乱歩賞受賞、
当時若干26歳なんてとんでもない才能の持ち主だったんですね。
カテゴリーの「グインサーガは」はヒロイックファンタジーに分類(乱暴かな)されますが、
こちらは超本格的なミステリーです。
ミステリーが好きな方は是非お勧めの一冊になります。
自分はシャーロックホームズシリーズでミステリー物には耐性があるつもりでしたが、
この小説には何回も騙されまくりました。
主人公は著者と同名の栗本薫君。(♂)
小柄で同顔ハンサムな明晰な頭脳の持ち主。
仲間三人組でTVのバイト中に起きた殺人事件に巻き込まれます。
3人組の仲間ではシケモクの信が私のお気に入り。
注.シケモク(一回吸い終えた煙草をもう一度吸う行為、次元大介と少し似ている)
物語の時代設定は、当時の若者の鬱屈した雰囲気が反映され社会的なテーマを投げかけています。
著者自身の学生当時といえば学生運動も収束して、
なんとなく若者が社会に対して期待できないやるせなさがあったんだのかなと思います。
さんざん抵抗しても無駄みたいな。現実に帰れよ。そんな感じ。
物語は警視庁のハンサム山梨警部補という常識人がガイドしてくれます。
また、主人公が詰まった時には私が大好きな信君が大人びた風でいて、
それでいて同じ子供に戻ってきて栗本君を支える展開。
もう一人のヤスヒコ君の設定がよく思い出せない。
確か三人組でこの構成なら熱血漢ってところだったと思います。
クライマックスはたぶんよほどの変態じゃぁないと予測できないと思います。
私には最も悲しいラストだったかな。裏切ってほしくなかった人が真犯人です。
著作が後に取材の中で計算しつくした物語と語っています。
であれば普通騙されますし、
騙されたほうが本って読み終わって嬉しいものと私は思います。
途中で犯人が分かるような物語はガッカリしますよね。
正直に言いますと30年も前の本をまっとうに紹介するのは無理があると今気づきました。
元来、自分だけが楽しめればよく、
人に勧めたりその本を考察するなんて考えたことありませんでた。
この貧弱な頭と文章力で先人達の本を紹介するなんて恐れ多いかなと思いますが、
そうですね、やっぱり面白かった本は人に伝えたいです。
今日はここまで。暫く栗本薫君かな。