イェライシャの結界

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パンデミック【合衆国封鎖】

武漢新型肺炎ウィルス

年初より中国武漢発、新型肺炎ウィルスが報告され、次第に感染が広がり大騒ぎになっています。今回の事例は、感染したとしても致死率がインフルエンザ程度であり(楽観はできませんが)、最悪の事態ではなさそうに思えます。最悪な事例は、小説の設定ではされていて、大石英司著「合衆国シリーズ」全9巻を読んだことがあります。

 

大石英司合衆国シリーズ

 『合衆国シリーズ』中央公論新社
『合衆国封鎖』(上下巻)2002年5月
『合衆国消滅』(上下巻)2002年10月/2002年11月
アメリカ分断』(上下巻)2003年3月
『合衆国再興』
『上 コロラド・スプリングス』2003年7月
『中 テキサスの攻防』2003年10月
『下 約束の地へ』2003年12月

抜粋大石英司 - Wikipedia

大石英司さんの著作は、「サイレントコアシリーズ」でハマってからほとんど読んでいます。軍オタではなかったけど、トム・クランシーを読み終えて、日本人版を探して辿り着きました。文章は稚拙に感じるところや(言えた義理ではない)、編集者に突っ込みを入れたいところが目につきますが、構成力は大したもので、武器の説明からガッツリされています。 それにしても膨大な量を書かれている作家です。凄いです。

 

合衆国シリーズ

合衆国シリーズにもサイレントコア(自衛隊特殊部隊)が活躍します。まず、物語の序章である合衆国封鎖に衝撃を受けます。細菌兵器により人口が壊滅し、鎖国状態となりはて国の存亡の危機になります。最新兵器での派手なドンパチ、医療科学者の戦い、政治家の役割、軍のあり方、ラブシーンありなど楽しむ要素はてんこ盛りです。人類の未来を信じる人達の奇跡的な活躍で再興までを描き切っています。

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『合衆国封鎖』

細菌兵器がイカれた科学者によりバラまかれます。質の悪いことに営利目的ではなく単なる私怨のために、人類滅亡ではなくアメリカが滅ぶように計画されました。

病原菌は天然痘エボラウィルスのハイブリット菌で、既存のワクチンでは全く効果がなく、空気感染することと感染率が高く致死率は発症でほぼ100%という極悪ぶりです。唯一の弱点は寒冷時には不活性化することぐらいです。

ホワイトハウスは、状況報告を受けオメガ指令(人類破滅の可能性を持つウィルスの出現に関する最優先最高命令)を出します。

「このウィルスの拡散を阻止するために、合衆国は例外なく封鎖され、これより航空機の着陸をさせてはならず、命令に従わない航空機は例外なく撃墜される」

*1

このウィルスは犯人のアメリカをロックアウト(封鎖)させるという意図で、最初に田舎町に仕掛け警告します。これを受けオメガ指令が出され世界恐慌に陥ります。そして犯人は未だ殺人ウィルスを持っており、封鎖されたアメリカの任意の場所でばらまくことで止めを刺そうとします。そしてニューヨークに撒かれ爆心地となってしまいます。

さらっと書いてしまいましたが、アメリカ本土に戻れないほとんどの民間機は戦闘機で撃墜されてしまいます。また、船舶で脱出を試みても海軍により沈められてしまいます。封鎖にはほとんど成功するも、おびただしい犠牲者を殺人ウィルス以外で出してしまいます。

物語中盤以降では、殺人ウィルスが太平洋を渡ってしまったり、政府対応に付け込んで西海岸では、軍事クーデターまで起こり物語は複雑に絡み合っていきます。

シリーズを通じ殺伐としたテーマではあるけれど、人類の未来と希望を信じる戦う人々、随所で現れる騎兵隊的な存在が頼もしく、途中でもエンディングでも涙が止まらないシーンがありました。

騎兵隊的存在

サイレントコア(自衛隊特殊作戦部隊㊙)

草鹿ニ佐(陸上自衛隊 医官

綿貫武雄(平和部隊 二佐もどきオタク)

オールド・ボーイズ(英国退役軍人達)最高です。

 

 このようなバイオハザードなどと違う、殺人ウィルスのリアル設定な物語を読むと、今回の武漢の件は、まだ大丈夫かと思えてしまいます。ガチならとっくに封鎖されていると思うのです。仮に(本当に仮定として)ウィルスが撒かれたとしても、同時にワクチンの研究も同時に進んでいると思えますし、威力(破壊力)もショボいと言わざるを得ません。

今回の武漢閉鎖は、別の目的があるように思えます。武漢はバイオ医療の投資が凄まじく研究開発拠点です。それらをいざという時のための厳重管理下にするオペレーションや、医療に名を借りたドラックの製造拠点を潰すことが中国当局の狙いのような気がします。武漢から上海まで長江で結ばれます。武漢を遡れば成都、ウィグルです。上海閥にドラッグ利権(オピオイド系薬物)の疑いを持っていますので、武漢を欲する理由があり、習派との派閥闘争の最前線と思えてしまいます。

いずれにせよ、今回の新型肺炎ウィルスに関して、正体がはっきりしない以上、各国も対応に限界があります。ウィルスが変異して(キメラ化)感染力や致死率を上げるような事態は恐ろしいですし、早期収束を願うばかりです。

 

 

*1:合衆国封鎖意訳