アルスラーン戦記
著者に一言
物語は田中芳樹著小説16巻で完結しました。
30数余年かかっていて20巻を想定していた私には物足りない感じがしました。
著者が物語は「完結してなんぼ」という意味のことを記しいていて、
最後はその呪縛から何とかやっつけたぞと逃げた気がするのです。
銀河英雄伝説で一躍人気作家になった著者は他に多数の人気シリーズを抱えています。
その著者が何とかこのシリーズは完結させるぞ!となるのは、
どうもその原動力は原作が漫画化されることと睨んでいます。
原作が未完では引き継いだ漫画家は困るでしょう。
現に「アルスラーン戦記」は荒川宏が漫画化していて、
現在単行本は11巻を数え、アニメはそれを先行しています。
アニメ化の続編を待っているのが現状です。
小説が漫画化されアニメ化される物語の中には、
特にアニメ化において残念な気持ちになるものが多いのですが、
「アルスラーン戦記」は全て楽しめると思います。
漫画単行本は
物語の舞台
中世オスマン帝国をイメージします。現在でいう中東の肥沃地帯。
中世ヨーロッパを舞台にした戦記物語は多数あれど、
舞台設定ですでに著者の目のつけところの良さを感じます。
現代版ペルシャ物語と言っていいのかな。
あらすじ
栄華を極める大国パルス王国がルシタニア宗教国家に侵略され、
忠実な最初の家臣豪傑ダリューン、
軍師ナスサス達と一緒に徐々に個性的な仲間を増やしながら、
周辺国との脅威をも打ち破り王国を復興させる。
前国王は途中無茶な要求をして来たり、
実はアルスラーンは全王の嫡子でなく、
王家の子孫の銀仮面ヒルメスが絡んできて苦しめられます。
物語当初から魔族が存在し、ヒルメスは魔族と結託しますが、
ラスボスは魔族の蛇王ハーザックです。
物語を通じてアルスラーンの成長過程が描かれています。
王家でない処世の生まれであることを自覚しつつも、
常によき王になろうとあがき続ける姿に、
周囲の臣下はほっとけないだけでなく、
ハッとさせられる言動に魅入られていきます。
たぶん著者はアルスラーンの一言のために
時間をかけ思いを巡らし一言一言をちりばめたと思います。
主な登場人物
アルスラーン:主人公後に奴隷解放を施策とし開放王と称される。
ナルサス:知略智謀の策士、絵は壊滅的に下手だが将来の宮廷画家を約束され臣下に
エラム:元ナルサスの従童転じてアルスラーンンのよき従僕。機転が利いて器用。
ファランギース:絶世の美女神官、弓の使い手、精霊の声を聴く。
キーブ:楽浪楽師、軽薄キザと見せて知勇兼備。弓も剣も一流。
アルフリード:ゾット族族長娘、弓使いのお転婆。ナスサスに惚れこむ。
ヒルメス:復讐心を持つ王子。魔族に結託して故国を壊滅させた。SS級戦士。
ラジェンドラ:隣国シンドゥラ国王。野心家だが憎み切れない面がある。
ギスカール:ルニタニア王弟、実質的なルシタニア軍最高司令官。
まとめ
どうしても「銀河英雄伝説」を意識してしまいます。
ちょっと無理がありますが、双方の物語で主人公の補佐的なキャラがいます。
エラムです。ユリアンと少し立ち位置が一緒で私は本作で一番好なキャラです。