魔界水誤伝1
栗本薫の著作の紹介第三弾です。
「ぼくらの時代」もそうですが手元にはとっくに本はありません。
ゆえにウィキペキアなどを参照しながら振り返っていく手法をとります。
設定は現代日本に古代のクトォールの邪神ツァトグァの魔勢が襲ってきて、
主人公たちがあーだこうーだ言いながら結集し戦いを繰り広げる物語。
結集する地球防衛勢力は、「人間」(地球軍)と「先住者」になります。
この物語で最初に引き込まれたのが先住者の覚醒のくだりです。
先住者とは地球にその名の通り太古より存在する精神生命体で、
精神生命体ゆえに人間のような繁殖に増殖コードは持ちません。
そこに人間が生まれ共存する過程で、
人間に入り込んだ遺伝子的な存在と私は理解しています。
代表的な先住者は最強の火の民、同等の力を持つ水の民、地の民、翼の民など。
で、肝心の主人公は誰だ?
まずそこからこの物語はというか栗本薫の物語は主人公に悩むことがあります。
本作は人間安西雄介でしょうが、なかなか姿を見せず巻数を重ねると、
美形冷血キャラの水の民本多多一郎に取って代わられている気がします。
外伝では本多多一郎は織田信長に転生しちゃって主人公はってますから。
ファンは多いようですが私は本多多一郎は苦手です。
理由は私の大の苦手な蛇属性であること、それから衆道の方だから。
蛇属性で衆道ってどうよ。皮膚の下に虫が入る感覚しませんか?
婚約者の地の民藤原譲を芋虫みたいに扱って相手にせず、
火の民の長と勘違いされ散々な目にあった情弱の伊吹涼を寵愛します。蛇モード全開で。
脱線しますと、
栗本薫は同性愛のよき理解者というより完全に妄想で踏み込んだ方かと思います。
思わずムズムズするリアルな表現や題材が多数登場します。
ライフワークであるグインサーガすら随所にばっちり登場します。
私はノーマルな♂でとてもじゃないけど理解できませんが、
女性のそのなんだそっちの妄想とか執着とかネバネバ感には引いてしまうのです。
話を戻して主人公です。
個人的には伊吹風太を待望したのですが早めにリタイアしました。
兄である伊吹涼の存在から作者が外したように思えてしまいます。
先住者最強風の民の若長。普通のSF対戦物なら鉄板なんですがね。
でもまぁ人間が主人公で無力な人間頑張れってなりますが、
安西雄介も禍津神須佐之男の転身だったとなります。
普通の人間では悪魔さん戦うのは無理がありますからね。
うん?そうだ現代軍隊VS古代悪魔って設定あまり聞かないな。
…いけないあった。私のお気に入りが。「GATE」GATE
魔界水誤伝1巻の見せ場は二つあると思います。
まず、先住民たちが次々と覚醒していくところ。
先住民のヒントは人間界に入り込んだその氏名に隠されて、
火の民若長伊吹風太は、火に相性の良い風の字が使われ、
翼の民の長である白鳥夏姫なんてまんまです。
かなり強力な力を持つ藤原譲は藤が根に通じて地の民、地中に蠢くという設定になります。
二つ目はクトォール邪神ツァトグァの先兵のインスマウス襲来シーンです。
キーワードは鱗と魚眼です。魚の悪魔とでも表現しましょうか。
これでもかってほど鱗が描写され、白濁した魚眼。
ペタペタ襲ってくるのです。このあたりの描写は精緻ゆえ気味のわるいのなんの
しばらくお魚さんの食欲は失せます。
てな具合で人間はインマウスに襲われるかインマウス化されちゃいます。
こんなところが第1巻だったと記憶しています。
これを書くにあたってこの物語完結してなかったと記憶していたんです。
調べたら20巻で完結しているんです。あれれとなって、確かめたら、
第2部信魔界水誤伝が13巻で途切れているんです。
私の部屋にいつまでも13巻があった記憶はあるんです。
第1部の完結の記憶がゆるいんですよね。
なんかずーと紙面がワーギャーのカタカナで占められ続けていて、
何だこれはふざけんなとなっているのです。
ここまで書いといて何ですが序盤と外伝が面白かったんだけど
本伝は後半あやふや。第2部真魔界水誤伝は完結しません。